セミナーについて - 東北大学大学院 理学研究科 物理学専攻 物質構造物理研究室

東北大学大学院 理学研究科 物理学専攻 物質構造物理研究室のHPです。
Material Structure Physics Lab., Department of Physics, Tohoku University, Sendai, Japan

Material Structure Physics Lab.


updated 2011.4.2

論文発表セミナー

textbooks.jpg 研究室では隔週1回以上の頻度で「論文発表セミナー」を行っています。学生(学部4年生は後期から)およびスタッフが交代でレポーターとなり、物性物理学のトピックスを発表し、みんなで議論し合うという形式です。研究室のテーマと関連の深い重要論文の紹介や研究のレビューなどを主な題材としています。最新の研究成果や新しい理論・考え方に触れたり、我々が直接研究対象とはしていない物質や実験手法について学んだり、あるいは古い論文でも重要な知見を学ぶことで、研究を行うための基礎を磨き、研究グループとしてのレベルアップをはかることが目的です。また、下記学生セミナーや講義で扱う教科書にある事項と実際の研究で直面する課題を関連づけたり、あるいは教科書に記述されていてもなじみが薄い基礎知識を補うこともあり、我々自身に対する教育も大事な目的の一つです。このセミナーを通じて、個々の研究課題に対する理解も深まるフィードバックの効果を狙っており、物理学への問題意識も高められると期待しています。そのため、各レポーターは半期に2回の発表機会をもち、復習を通した理解度のレベルアップを目指します。第1回目にトピックス全体を通して発表し、そこで疑問となったことや補足すべき事項のフォローアップ発表を第2回目に行います。
 研究室でのセミナーの主役は学生です。学生にとっては新しい概念が続出しますので、わからないことだらけです。我々と直接に研究対象とはしていない物質や手法が話題に取り上げられることが多いので,聞いたことのある言葉でも「そもそも***ってなんだ?」といった疑問がいつも湧いてきます。学生がフォローしながら理解できることをベースにしていますので,セミナーではどんなに初歩的な質問をしてよいというルールになっています。問題点は何なのか、議論のポイントは何か、そして理解すべきことは何かをつかむことに留意しながら、サイエンスの方法論を学んでもらいたいと思います。さらには議論の構築の仕方の練習やからプレゼンテーションのトレーニングも兼ねています。したがって、学生にとってセミナーの準備をすることは、自らの学力や論理構成力の限界を突き破る格闘とも言える大変な作業ですが、これによって社会に打って出るために大いに鍛えられます。


過去の論文発表セミナーのテーマをまとめました。LinkIcon

学生セミナー

seminar.jpg 本研究室では、主に学部4年生と修士1年生を対象として、隔週1回程度、固体物理の基礎を学ぶための学生セミナー(通称、M1, B4セミナー)を行います。C. Kittelの"Introduction to Solid State Physics"をテキストにして、演習問題を解きながら計算や実習などを通じて、自らの手を動かして物性物理学の基礎知識を体得していく形式で進めます。輪講形式だけでは、積極的に参加できずに理解不十分のまま終わってしまうこともあり、本当の意味で理解できることを目指して、チューターとなるスタッフのガイドを通して、皆で侃々諤々の議論をしています。
 修士1年生の中には、学部4年生の時を含めて、2回のM1, B4セミナーを経験する学生がいます。これもフィードバック効果を狙ったものです。特に2年目のセミナーでは、後輩の学部4年生への指導的役割を果たしてもらいます。自ら説明することで参加者に理解してもらうことを通じたプレゼンテーションのトレーニングにもなります。
 セミナーで取り上げる内容は、実際の研究テーマに取り組むために必要なより高度な基礎知識や概念の習得に発展することがあります。テキストとする"Introduction to Solid State Physics"の内容や、講義で習う量子力学や統計力学を、実際にX線や中性子を使って追究する強相関電子系の研究テーマに取り組む上でツールとするにはギャップがあります。研究室で取り組む研究テーマは、とても豊かで深い物理を含んでいることが期待されるので、一見するとそのようなツールがどう適用できるのかの見通しは容易ではありません。そこで、セミナー中にスタッフが「**君の研究テーマとこの演習問題は、物理現象の舞台が共通だよね?」といった展開をすることがあります。こうなると俄然、モチベーションも高まってくるので、ぜひ存分に楽しんで取り組んでもらいたいと考えています。我々が取り組むサイエンスでは、眼前の現象をまずどう理解・説明しうるを考えることが必要になります。物性物理学では、例えば「金属中の伝導電子は自由電子であると考えてよい」、「いや、このような物質ではその見方は不十分だ」というように、物質中で起きる現象をどう見るかということからスタートします。つまり、これまでに蓄積されてきた知識や考え方に多く接することで、目の前のテーマにより楽しく取り組むことができるのです。

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